AutoCAD Plant3Dをはじめとする3D-CADやDX関連のITツールが進化する中で、配管設計者の役割は大きく変わろうとしています。単に「配管を描く」だけでなく、「情報を設計し、プロセスを最適化する」能力が求められる時代です。
本記事では、IT・DX化が進む現代において、市場価値の高い配管設計者になるために必要な「新たなスキルセット」を解説します。
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導入:「職人」から「情報戦略家」へ
過去の配管設計者は、経験に基づく「暗黙知」と手書きの製図スキルが重要でした。これからの設計者は、ITツールを駆使して「データを設計する」という形式知に基づいたスキルが不可欠になります。
必須スキル1:3D-CADとデータ連携能力
Plant3Dを徹底的に使いこなすことは大前提です。
- インテリジェンスの活用:単なるモデリングだけでなく、スペック駆動設計、P&ID連携、属性情報の正確な入力といった「インテリジェンス機能」を使いこなす能力。
- 他ソフトとの連携:Navisworksでのモデル統合とレビュー、RevitやT-fasなどのデータ入出力など、プラント全体を俯瞰したデータ連携スキル。
必須スキル2:データマネジメント能力
データ駆動型設計の時代、設計者はデータ管理者としての役割を担います。
- 標準化と品質管理:社内規格(スペック、カタログ)やタグ付けルールを定義し、全プロジェクトでそのデータ品質を維持する能力。
- データベースの基礎知識:BOMやタグ情報がどのようにデータベースに格納されているかの基礎知識。これにより、カスタムレポート作成などが可能になります。
必須スキル3:ITツールの選定・評価能力
現場の課題解決のため、新しいITツールやDXソリューションを選定し、効果を評価できる能力が求められます。
- 費用対効果(ROI)の評価:点群計測技術、VR/MR技術、AIなどの導入コストに対し、設計工数削減や手戻り防止でどれだけの効果が得られるかを判断するビジネス感覚。
- プロンプトエンジニアリング:AIに最適な設計案を生成させるための指示(プロンプト)を技術的に正確に記述するスキル。(これはCADの世界では、あと数年後の未来の話です)
ソフトスキル:コミュニケーションと推進力
設計プロセスがデジタル化・多角化するほど、人との連携が重要になります。
- ファシリテーション能力:3Dモデルを使った顧客や現場とのレビュー会議を主導し、多様な意見を効率的にまとめて設計に落とし込む能力。
- 下流工程への理解:自分が設計したデータが、発注、製造、施工、保全といった下流工程でどのように使われるかを理解し、そのニーズに応じたデータを提供する意識。
キャリアアップの道筋
これらのスキルを身につけた設計者は、以下の専門職へとキャリアを広げることができます。
- 3D-CADデータ管理者/BIMマネージャー:設計データとワークフローの標準化・管理を専門とする職。
- スペック・ライブラリ管理者:企業の技術標準をPlant3Dのスペックとして体系化し、管理する専門家。
- プラントDX推進リーダー:ITツールを活用して設計プロセスの改革を推進するリーダー。
まとめ:ITツールは「自己成長のための道具」
ITツールは、あなたの可能性を広げるための道具です。受動的にツールを使うだけでなく、能動的にツールをカスタマイズし、データを設計するという新しい視点を持つことで、あなたは市場で求められる「設計の未来を担う人材」になれるでしょう。

ナナ
いきなり全部は難しいかもしれにゃいから、一つずつ目標をもって段階的に学んでいくといいにゃ!ふぁいとニャ!!
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