【第63回】Plant3Dの「データマネージャ」を使いこなす:属性情報の一括編集術

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Plant3D設計者にとって、3Dモデルを描くこと以上に重要なのが、配管や機器に付与された「属性情報」を正確に管理することです。しかし、数千点の配管部品やバルブ一つ一つを手作業で編集するのは非効率で、ヒューマンエラーの温床となります。

この課題を一掃するのが、Plant3Dに搭載された強力な機能「データマネージャ」です。本記事では、このデータマネージャをマスターし、属性情報の一括編集やカスタムレポート作成を効率化する上級テクニックを解説します。

導入:データマネージャは「設計のデータベース窓口」

データマネージャとは、Plant3Dモデルに紐づくすべての属性情報(タグ、材質、スペック、寸法など)を、Excelのような表形式で表示・編集できる専用インターフェースです。設計者はここでP&ID情報3Dモデル情報の整合性を確認し、一括でデータを修正できます。

データマネージャの基本操作と表示設定

まず、データマネージャの基本的な機能と、効率的な作業のための設定を理解しましょう。

  1. ビューの切り替え:データマネージャには、P&IDビュー配管コンポーネントビュー機器ビューなどがあります。作業目的に合わせて、必要なビューに切り替えます。
  2. データのフィルタリング特定のライン番号、口径、または特定の属性が空の部品など、必要なデータだけを抽出するためのフィルタ設定を使いこなします。
  3. カスタムプロパティの表示:初期設定では表示されないカスタムで追加した属性(例:発注番号、設置費用)を、表示列に追加し編集できるようにします。

データマネージャ最大の武器:「一括編集」テクニック

手作業で一つずつ属性を入力・修正する手間から解放されます。

  1. まとめて値の変更複数行を選択し、共通の属性(例:ライン番号サービスコード)を一括で入力・変更します
  2. Excelとの連携(エクスポート&インポート):データマネージャの表をExcel形式にエクスポートし、Excel上で計算や並べ替えなどの複雑な操作を行った後、再度、Plant3Dにインポートすることができます。
    • 【重要】 データ型やセル形式などは、Plant3Dのデータベース定義によって設定されているため、エクスポートしたものから変更せずに、値のみを編集してください。

整合性の検証とエラーチェック

データマネージャは、設計情報の品質管理にも極めて有効です。

  1. 空欄の特定「タグ」や「材質」など、入力が必須の属性が空欄になっている部品をフィルタで抽出し、一括で情報を補完します。
  2. P&IDと3Dモデルの比較:データマネージャ上でP&IDで定義された情報と3Dモデルで入力された情報を並列で表示し、手動で不整合がないかをチェックします。これは、システムの自動整合性チェックを補完する重要な作業です。

カスタムレポート作成への応用

データマネージャで表示している表形式のデータは、様々な実務レポートとして活用できます。

  1. ラインインデックス:配管の口径、材質、ラインナンバーなどの属性をExcelにエクスポートしてレポートとして使用します。
  2. 計器リスト:計装品の種類ごとに集計することで、迅速にレポートを作成することができます。

まとめ:データマネージャは「設計の品質とスピード」を両立させる

Plant3Dのデータマネージャを使いこなすことは、「データ駆動型設計」の中核を担うスキルです。これにより、属性情報の入力・修正にかかる時間を大幅に削減し、設計データの品質を最高レベルに保つことができます。データマネージャを駆使して、あなたの設計ワークフローを次のレベルへと進化させましょう。

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