【第71回】Plant3Dが変える見積もり精度:設計初期段階でのコスト自動算出

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プラント設計において、見積もり精度はプロジェクトの成否(利益率)に直結します。しかし、従来の2D設計では、設計初期段階での詳細な材料集計が難しく、見積もりが概算に頼りがちでした。その結果、設計が進むにつれてコストが膨らみ、利益を圧迫することが多々あります。

AutoCAD Plant3Dのインテリジェンス(属性情報)を活用することで、設計の初期段階からリアルタイムで正確なコストを自動算出できるようになり、見積もり精度を劇的に向上させることができます。本記事では、Plant3Dを活用した「リアルタイムコスト管理」の仕組みを解説します。

導入:設計データは「コスト計算書」である

Plant3Dのモデルは、単なる配管の形状ではなく、「このバルブはどのメーカーの、いくらの部品か」というコスト情報を含む「コスト計算書」であると捉えましょう。

リアルタイムコスト管理の仕組み

Plant3Dがどのようにコスト情報を扱っているかを理解します。

  1. カタログへの単価情報付与: Plant3Dのカタログ(Catalog)やスペック(Spec)に、配管、バルブ、継手などの部品単価(または概算単価)を属性として事前に定義します。
  2. BOMと単価の連携: 3Dモデルに部品が配置されると、BOM(材料集計表)が自動生成されるのと同時に、数量と単価が連携し、リアルタイムで概算コストが計算されます。
  3. リアルタイムフィードバック: 設計者は、配管ルートを変更したり、高価なバルブを低コストなものに置き換えたりするたびに、画面上で瞬時にコストの変動を確認できます。

見積もり精度向上のためのデータ整備

正確なコスト計算のためには、コスト情報の品質と鮮度が重要です。

  • 単価の「粒度」: 単価情報には、配管材料費だけでなく、機器据付費用、配管工事費用といった加工・施工費も含めることで、より実態に近い見積もり精度を実現できます。
  • 複数単価の管理: 概算見積もり用(設計初期)と最終見積もり用(設計完了後)など、目的やフェーズに応じた複数種類の単価をPlant3Dの属性として管理します。
  • パイプ長と重量の正確な算出: Plant3Dはパイプの正確な長さや重量を自動算出します。これらの情報と単位重量あたりのコストを連携させることで、正確なパイプコストを計算できます。

設計変更時のコスト影響度分析(理想として)

設計が複雑になるほど、設計変更がコストに与える影響を把握することが重要です。

  • 比較レポートの作成: 設計変更を加える前と後の2種類のBOMとコストレポートを自動で作成し、Navisworksなどで比較することで、「どの配管変更が、どれだけのコスト増減に繋がったか」を経営層や顧客に明確に提示できます。

下流工程へのコスト情報の引き渡し

コスト情報も、次の工程で活用されます。

  • 発注管理システム(ERP)への連携: Plant3Dから出力された正確なBOM(数量、品番)を、発注管理システムに連携させることで、手動での発注データ入力を不要にし、発注ミスを防ぎます。

まとめ:Plant3Dは「利益率を設計するツール」

Plant3Dは、単なる配管設計の効率化だけでなく、プロジェクトの利益率を設計するツールとなります。リアルタイムコスト管理の仕組みを構築することで、あなたは技術的な品質だけでなく、ビジネス的な価値も最大化できる設計者になれるでしょう。

ねこ道
ねこ道

現実的には、積算をするタイミングでは配管設計ができる状態でないことが多く、難しいかもしれません。そのあたりは、会社ごとに見積りの精度と時間についてバランスを、再考してみても良いのかもしれません。

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