プラント建設の現場では、現地での配管切断、溶接、組み立てに多くの時間とコストがかかり、天候や作業員の熟練度によって品質がばらつくという課題があります。この課題を解決するのが、配管のプレファブ化(プレハブ化、工場事前製作)です。プレファブとは、pre-fabrication(プレファブリケーション)の略で、直訳すると「プレ=事前」に「ファブリケーション=製造」という意味になります。
AutoCAD Plant3Dで作成された高精度な3Dモデルは、このプレファブ化を計画、実行、管理するための最適なデータソースとなります。本記事では、Plant3Dモデルを最大限に活用し、建設現場の生産性と品質を向上させるためのプレファブ化推進戦略を解説します。
導入:プレファブ化は「現場作業の工場への移行」
プレファブ化とは、「現場作業の一部を、管理された工場環境へ移行すること」です。これにより、現場の作業時間を短縮し、工場での安定した品質とコストメリットを享受できます。
プレファブ化の鍵:スプール図の自動生成
プレファブ化で最も重要な成果物が、工場で組み立てるための「スプール図(Spool Drawing)」です。
- スプールの定義: Plant3Dのスプール設定機能を使い、工場で製作可能なサイズ(例:トラック輸送可能な最大寸法や配管の定尺寸法など)に合わせて、配管ラインを溶接スプール(Weld Spool)に分割します。
- スプール図の自動生成: 定義されたスプール情報に基づき、Plant3Dが寸法、溶接点、BOMを完璧に含むスプール図を自動で出力します。
- 手動作成からの脱却: 2D設計では手動でスプールを分割・作図していましたが、Plant3Dではワンクリックで正確なスプール図が生成され、製作図作成工数を大幅に短縮します。一般的には、従来に比べて90%以上の削減が見込めます。
製作情報の正確な引き渡し
工場での製作ミスを防ぐためには、正確な情報が必要です。
- スプールBOMの作成: スプール図には、そのスプールに必要な部品(パイプ、継手、フランジ)のみを集計したスプールBOMが自動で付与されます。これにより、材料の誤発注や不足を防ぎます。
- NC加工データへの連携: Plant3Dのスプールモデルから、パイプの切断・開先加工に必要なNCデータを自動で生成し、スプール図に記載されます。
現場での管理と組み立て効率化
プレファブ化されたスプールを現場で効率的に組み立てるための仕組みです。
- スプール単位の進捗管理: Plant3Dモデルの属性情報に「製作状況(工場内)」「現場搬入日」「据付状況」などの情報を入力し、スプール単位で進捗を管理します。
- 3Dモデルによる組み立て支援: 現場では、NavisworksやAR・MRツールを使い、スプール番号をクリックするだけで次の組み立て手順や接続位置を確認できるようにします。
※これは私の願望です。近い将来、こういう事が実現できるようにしたいです。
品質管理とトレーサビリティの確保
プレファブ化は、品質管理の徹底を可能にします。
- トレーサビリティの向上: 各スプールの溶接士番号、溶接日、検査結果などの情報をPlant3Dのデータベースに紐付け、スプール単位の履歴を管理します。
- 寸法精度の保証: 工場で製作されたスプールは、厳密な管理下で高い寸法精度が保証されるため、現場での調整作業が最小限に抑えられます。
まとめ:Plant3Dは「建設現場の工場化」を推進する
Plant3Dモデルは、「現場での非効率な作業」を「工場での高効率な製作」へと置き換えるためのデジタル設計図です。プレファブ化を積極的に推進し、建設現場の工期短縮、コスト削減、品質向上という三つの目標を達成しましょう。

現在の多重下請け構造の働き方では、中々実現できません。これからの時代は、3D-CADや3Dモデルは「設計だけで使うもの」から「施工で職人さんも使うもの」に変革していかなくてはいけません。
そんな素晴らしい未来のために、これからも広く発信活動を続けていきたいと思っています。


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