前回はAutoCAD Plant3D(以下Plant3D)のレイヤー設定についてお話ししました。今回は、機器モデルと架構モデルについて考えてみましょう。Plant3Dは配管設計用の3D-CADですが、配管設計をするためには、当然ほかのモデルも必要になってきます。機器、架構、建屋などの情報や、時には既存情報などもモデリングする場合があります。では、またいつもの質問です。(笑)
何のためのモデルなのか?
もうお分かりかと思いますが、これらモデルは配管のためのモデルということになります。機器モデルであれば、配管が接続するための情報や位置、あとは配管の干渉物としてのモデルということです。架構や建屋などは配管の干渉物としてのモデルになります。要は、あまり時間をかけて細かくモデリングしてもコスパ悪いよ(笑)ってことです。

これ大事!結構やってしまっています。自分でモデリングするならばいいのですが、別会社や別担当がモデリングする場合は、しっかりと事前に擦り合わせてルールを決めておかないといけません
ルールを決める上で、参考になるものがあります。それが、国土交通省が出しているBIM/CIMガイドラインです。その中で「モデル詳細度(LOD)」という概念があります。LODはLEVEL OF DETAILの略です。
詳細度 | 定義内容 | (例)縦型タンク | (例)架構(H鋼) |
---|---|---|---|
LOD100 | 単純な形状で示したモデル | 円柱のみ | 立方体のみ |
LOD200 | 構造形式が分かる程度のモデル | 上記+上鏡板と下鏡板を含む | H型のモデル |
LOD300 | 外形形状を正確に表現したモデル | 上記+ラグやノズルなどの情報も含む | 上記+リブやボルトなどの情報も含む |
LOD400 | 細部構造も含めて正確に表現したモデル | 上記+製作するための詳細寸法情報も含む | 上記+製作するための詳細寸法情報も含む |
LOD500 | 現実の形状を表現したモデル | 実物に合わせて寸法情報を修正する | 実物に合わせて寸法情報を修正する |
上表の「(例)縦型タンク」が、私なりのプラント配管設計における機器モデルの考え方です。私はいつも機器モデルをLOD300で作成します。LOD400を目指すとモデリングに時間がかかりすぎてしまうためです。そんな時間があったら配管の設計に充てたいと思っています。
上表の「(例)架構(H鋼)」が、架構モデルの考え方です。こちらは、LOD200で作成しています。
Plant3Dでは、いずれも専用の作成コマンドがありますので、そちらを活用すればおのずと私と同じLODになってくるのではないかと思います。
まとめ
- 配管以外のモデリングは、配管の干渉物としての意味合いが強いので、あまり細かくモデリングする意味はない。(なくはないけどコスパが悪すぎる)
- 機器モデルは、Plant3D専用コマンドでLOD300で作成する。
- 架構モデルは、Plant3D専用コマンドでLOD200で作成する。
次回は、いよいよPlant3Dで配管をモデリングしていくための具体的なお話をしたいと思います。
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