現場に大量の紙図面が散乱し、「最新版の図面はどれだ?」「この配管のタグ情報が図面に見当たらない」といった情報格差が、施工ミスや手戻りの温床になっていませんか?
プラント設計のDXは、設計部門の効率化だけでなく、現場とのシームレスな情報連携を実現してこそ意味があります。本記事では、Plant3Dで作成した3Dモデルデータを核として、ペーパーレス現場を実現するタブレット活用術を徹底解説します。
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導入:紙図面が抱える3つの致命的な問題
紙図面は以下の点で現場の効率を下げています。
- 情報鮮度の低さ:設計変更のたびに図面が更新され、現場にある図面が最新版でないリスクを常に抱えている。
- 情報検索性の低さ:特定のタグの情報を得るために、何十枚もの図面をめくる必要がある。
- 視認性の低さ:複雑な配管の立体的な取り合いが、2D図面では理解しづらい。
現場で使うべきデータ形式とツール
Plant3Dのデータを、現場のタブレットで効率的に閲覧・活用するためのベストな形式とツールです。
- Navisworksファイル:Plant3Dからエクスポートした軽量なNWD形式のモデル。現場の誰もが、機器や配管の属性情報(タグ、材質)をタッチ一つで確認できます。
- PDFファイル:アイソメ図や平面図は、PDFとして出力。デジタルで管理することで、最新版を誰もが見られる環境を整備します。
- Autodesk Construction Cloud:共通データ環境(CDE)のPC・モバイルアプリ。上記のNavisworksファイルやPDFファイル、検査記録、写真などを一元管理し、現場から設計部門へリアルタイムでフィードバックできます。
タブレットやスマートグラスで実現する3つの現場DX
タブレットやスマートグラスは、現場の作業効率を劇的に変える可能性があります。
- 3Dモデルビューアとしての活用:複雑な取り合い箇所で、3Dモデルを自由に回転、拡大、断面表示。2D図面では難しかった干渉箇所や手順を視覚的に把握。
- 電子チェックリストとしての活用:溶接検査、配管耐圧試験などのチェックリストをタブレットで入力。写真や位置情報を紐付けて即座にデジタル記録化し、ペーパーレスでの検査報告を完了させます。
- MR(複合現実)による位置出し支援:MRアプリを使い、タブレットやスマートグラス越しに現場の実景に設計した3Dモデルを重ね合わせて表示。配管ルートやノズル位置の正確な位置出しをサポートします。
最新版管理の徹底とセキュリティ
ペーパーレス化を成功させるには、「最新版を確実に現場に届ける」仕組みが不可欠です。
- クラウド連携の徹底:設計者がPlant3Dでモデルを更新し、クラウド(CDE)にアップロードすると、現場のタブレット上のデータも自動で更新されるワークフローを構築します。
- アクセス権限の設定:現場監督者、作業員、設計者など、役割に応じて閲覧・編集権限を細かく設定し、セキュリティを確保します。
- タフなデバイス選定:現場の過酷な環境(粉塵、雨、振動)に耐えうる高耐久性のタブレットや専用カバーなどを選定します。
現場からのフィードバックの効率化
タブレットは、現場からのフィードバックの窓口にもなります。
- 3Dモデルへの赤入れ:現場で問題を発見した場合、タブレット上で3Dモデルに直接マークアップやコメントを付与し、その情報を即座に設計部門に通知します。
- 位置情報付きの写真:問題箇所を写真で記録する際、GPS情報を自動で付与し、設計部門が現場のどの場所で問題が発生したかを正確に把握できるようにします。
まとめ:ペーパーレス化は「情報鮮度の革命」
ペーパーレス現場の実現は、単なる紙の節約ではありません。「情報鮮度の革命」です。図面内容が変更になった時の現場まで届くスピードが「異次元の速さ」です。Plant3Dが設計した高精度なデジタル情報を現場で最大限に活用し、施工のスピード、品質、安全性を向上させましょう。
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