「設計データのクラウド管理は、大企業向けでコストが高い」というイメージから、未だにローカルサーバーや個人のPCでCADデータを管理している中小企業は少なくありません。しかし、これはデータ紛失、情報漏洩、最新版管理の混乱といった大きなリスクを抱えることを意味します。
中小企業こそ、低コストかつ高セキュリティで設計データを管理し、リモートワークにも対応できるクラウド管理が不可欠です。本記事では、Plant3Dプロジェクトを安全に管理するための、現実的なクラウド導入方法とセキュリティ対策を解説します。
導入:設計データは「企業存続の鍵」
設計データは、会社の技術ノウハウの結晶であり、企業存続の鍵です。この最重要資産を、属人的な管理から脱却させ、「安全に、どこからでもアクセスできる」環境を構築しましょう。
クラウド管理の3大メリット
クラウド管理は、以下の点でローカルサーバーを凌駕します。
- BCP対策(事業継続計画):地震や火災などの災害時でも、データがクラウド上にあるためデータロストを防げます。
- リモートワーク対応:自宅や現場、出張先など、場所を選ばずに設計作業が可能になります。
- バージョン管理:ファイルの変更履歴が自動で残り、誤って上書きしても過去のバージョンに復元できます。
低コストで始めるクラウド管理(汎用クラウド活用)
まずは既存の汎用クラウドサービスを活用する、低コストな方法です。
Plant3Dと汎用クラウドの連携:Google Drive, OneDrive, BoxなどのクラウドストレージにPlant3Dのプロジェクトフォルダを丸ごと保存します。
※当初、この方法で試したのですが、Plant3Dの場合、一つのCADデータを開く時にもバックグラウンドで色々なシステムファイルを参照しているためうまく動作しませんでした。なので現在は、バックアップ要素として定期的にクラウドストレージに保存しています。
セキュリティを確保するための対策
データ漏洩や不正アクセスを防ぐために、以下のセキュリティ対策を講じます。
- アクセス権限の最小化:「誰がどのフォルダを閲覧・編集できるか」を細かく設定し、職務上必要な人だけがデータにアクセスできるようにします。
- 二段階認証の導入:クラウドサービスへのログインにパスワードとワンタイムコードを要求し、不正ログインを防ぎます。
- 履歴管理の徹底:誰が、いつ、どのファイルをダウンロード・変更したかのログを必ず記録し、監査体制を整えます。
より高度な管理:Autodesk Construction Cloud(ACC)の検討
上記の汎用クラウドストレージサービスでは難しかったため、Plant3Dにおいては、ACCの導入を検討した方がよいと思います。
- BIM Collaborate Pro:ACCの上位版になります。Plant3Dと連携し、チェックイン/チェックアウトによる排他制御や、承認ワークフローを実現します。中小企業向けのエディションもあります。
- 費用対効果の評価:導入コストと、手戻り、データロスト、情報漏洩による潜在的なコストおよび、業務効率化によるコストダウンを総合的に比較し、費用対効果を評価します。
まとめ:安全と効率は両立できる
設計データのクラウド管理は、もはや「あれば便利」なものではなく、「企業防衛のために必須」のインフラです。Plant3Dの導入を機に、設計データを安全なクラウド環境に移し、いつでもどこでも誰でも安全にデータアクセス可能な設計環境を確立しましょう。
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