【第65回】Plant3DとExcelを連携!カスタムレポート作成テクニック

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AutoCAD Plant3Dは、BOM(材料集計表)を自動で出力する強力な機能を備えていますが、実務で必要なのは材料リストだけではありません。ラインリスト、計器リスト、機器リストなど、プロジェクトを管理・実行するために必要なカスタムレポートをPlant3Dのデータから効率的に作成できれば、設計の価値はさらに高まります。

本記事では、Plant3DのデータマネージャExcelを組み合わせ、BOM機能では提供されない専門的なカスタムレポートを迅速かつ正確に作成するための具体的なテクニックを解説します。

導入:設計データは「無限のレポート源」

Plant3Dで作成されたモデルは、形状情報だけでなく、すべての構成要素に関する属性情報(タグ、材質、溶接タイプなど)の塊です。このデータを「設計」だけでなく「管理」のために活用しましょう。

カスタムレポート作成の基本ワークフロー

カスタムレポートを作成する際の基本的な手順です。

  1. Plant3Dで必要な属性を定義: レポートに必要な情報(例:溶接の非破壊検査(NDT)レベル、機器の設置場所コードなど)をカスタム属性としてPlant3Dのデータベースに事前に定義します。
  2. データマネージャで抽出: データマネージャで、レポートに必要なコンポーネント(配管、溶接点など)をフィルタリングし、必要な属性列のみを表示させます。
  3. Excelへエクスポート: 表示されたデータをExcelにエクスポート機能で出力します。

【事例1】溶接管理表の作成テクニック

溶接管理表は、溶接の品質管理とトレーサビリティに不可欠なレポートです。
※中小規模のプラントの場合は、溶接管理は必要ないことが多いです。当社でも使用しておりません。発電所関係のお仕事などの場合は、必須だったりします。

  1. 溶接点の抽出: データマネージャで「溶接ジョイント」のビューに切り替え、すべての溶接点を抽出します。
  2. 必要な属性の定義・入力:
    • Piping Line Number(ライン番号)
    • Weld Type(溶接タイプ):自動で入らない場合は手動入力が必要です。
    • Weld Number(溶番):アイソメ図出力時に自動採番されます。
    • NDT Level(非破壊検査レベル):このカスタム属性を事前に定義し、手動で入力します。
  3. Excelでの整形: Excelにエクスポート後、溶接士番号検査結果の入力列を追加し、オートフィルタ機能で集計しやすいように整形します。

【事例2】機器リスト(機器仕様書ベース)の作成

P&IDと3Dモデルで定義された機器情報を、機器仕様書の管理に活用します。

  1. 機器情報の抽出: データマネージャで「機器(Equipment)」ビューに切り替え、すべての機器を抽出します。
  2. 必要な属性の定義・入力:
    • Tag(タグ番号)
    • Service(用途)
    • Manufacturer(メーカー)
    • Model Number(型式):これらはP&ID作成時に定義します
    • 能力:こちらもP&ID作成時に定義します
  3. Excelでの活用: エクスポートしたリストを機器仕様書のベースや、機器ベンダーとの連携リストとして活用します。

データの一貫性を保つための注意点

カスタムレポートの正確性を保証するためには、データの一貫性が重要です。

  • 単一のソース: Plant3Dのデータ唯一の真実(Single Source of Truth)とし、Excel側で属性情報を直接変更しない(追記情報のみにとどめる)というルールを徹底します。
  • 定期的な監査: レポート作成前に、データマネージャ上で必須属性の入力漏れがないか、定期的にチェックする仕組みを構築します。

まとめ:Plant3Dは「管理情報システムの核」

Plant3Dは単なる設計ツールではなく、プロジェクト管理に必要な情報を生み出す**「情報システムの核」です。データマネージャとExcelの連携テクニックをマスターすることで、あなたは設計者であると同時に優秀なプロジェクト管理者にもなれるのです。

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