プラント設計において、すべてのプロジェクトが標準的な配管や機器で構成されるわけではありません。特殊な流体制御機器、社内独自の規格に基づいたバルブ、カスタム設計の機器シンボルなど、カタログにない部品をP&ID図面で表現する必要が必ず生じます。
AutoCAD Plant3DのP&IDコンポーネント作成機能を使えば、社内独自のシンボルを簡単に作成し、標準部品と同様に「インテリジェンス(属性情報)」を持たせることができます。本記事では、カスタムシンボルを作成し、P&IDの機能を拡張する具体的なステップを解説します。
リンク
導入:カスタムシンボルは「企業の技術ノウハウ」のデジタル化
カスタムシンボルを作成し、正確な属性を持たせることは、企業の固有の技術ノウハウをPlant3Dのシステムに取り込み、再利用可能な資産にする行為です。これにより、設計のスピードと品質を両立できます。
カスタムP&IDシンボルの作成手順
カスタムシンボルを作成するための基本的な3ステップです。
- シンボルグラフィックの作成: AutoCADの基本機能(線分、円など)を使い、ブロック定義(Block Definition)として独自のシンボルの図形部分を作成します。この際、挿入基点(Insertion Point)を正確に定義します。
- P&IDコンポーネントへの登録: Plant3D設定画面を開き、P&IDクラス定義の適切なカテゴリ(例:バルブ、機器など)に、作成したブロックを新しいコンポーネントとして登録します。
- 接続点の定義: 配管ラインとの接続点を正確に定義します。これにより、シンボルを配置した際に、配管ラインが自動で吸着し、正しく流体の流れが定義されます。
最も重要:カスタムプロパティの設定
シンボルに「インテリジェンス」を持たせるための属性(プロパティ)の設定です。
- 必須属性の継承: 作成したコンポーネントが属するカテゴリ(クラス)が持つ必須の属性(例:タグ、サービス)が、新しいシンボルにも自動で継承されていることを確認します。
- カスタムプロパティの追加: 「特殊な運転条件」「社内独自の管理コード」など、そのカスタム部品に固有のカスタムプロパティ(属性)をクラス定義に追加します。
- 属性の表示(Annotation): シンボルが図面に配置された際に、タグや口径などの情報が自動で表示されるよう、注釈(Annotation)の設定を行います。
P&IDと3Dモデルへの連携設定
作成したカスタムシンボルを3Dモデリングで活用するための設定です。
- 3Dモデルへのマッピング: カスタムP&IDシンボルが、3Dモデル側のどの部品(標準カタログのバルブ、またはカスタム3Dモデル)と連携するかをマッピングの設定をします。
- データ整合性のテスト: 作成したカスタムシンボルをP&IDに配置し、タグ、口径、材質などの属性を入力した後、3Dモデリング環境でその情報が正しく継承されているか(例:配置待ちリストに表示されるか)をテストします。
カスタムシンボルのライブラリ管理
作成したカスタムシンボルを全社で再利用するための管理です。
- ネットワーク共有: 作成したカスタムコンポーネントを含むプロジェクトテンプレートを共通サーバーに配置し、全設計者が同じものを使えるようにします。
- 命名規則の統一: カスタムコンポーネントの名前やブロック名を、社内で定めた統一規則に従わせ、誰でも検索できるようにします。
まとめ:P&IDのインテリジェンスを自ら拡張する
カスタムP&IDシンボルの作成は、Plant3Dの標準機能では対応できない部分を、自社の技術ノウハウで埋める作業です。このスキルを身につけることで、あなたは単なる設計者ではなく、Plant3Dというシステムそのものをカスタムできる専門家になれるでしょう。

ねこ道
こういう人材になれると、どの会社に行っても通用するエンジニアです!

ナナ
転職で給料アップ!も余裕でいけるニャ!
リンク


コメント