配管設計において、アイソメ図の作成は最も時間と労力を要する作業の一つです。「アイソメ図のために残業している」と言っても過言ではありません。この非効率な作業を根本から変えるのが、AutoCAD Plant3Dの「アイソメ図自動生成」機能です。
この機能は単に図面を作るだけでなく、設計データに命を吹き込むプロセスそのものです。本記事では、この機能を最大限に活用し、手動修正ゼロを目指すための具体的な設定と活用術を徹底解説します。
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導入:アイソメ図作成の概念を変える
2D時代、アイソメ図は3Dモデルから手動で投影し、寸法を手で記入する「作業」でした。Plant3Dでは、アイソメ図は3Dモデルのデータベースから必要な情報を抽出・整形した「レポート」です。この概念の違いを理解すれば、あなたの作業効率は飛躍的に向上します。
基本設定:スタイルと設定ファイルを知る
Plant3Dのアイソメ図は、ISO Styleという設定ファイルに基づいて作成されます。
- スタイル(Style)の使い分け:Plant 3Dには、CHECK(設計レビュー用)、FINAL(製作・施工用)、SPOOL(プレファブ用)など、用途に応じたスタイルがあります。それぞれのスタイルで、寸法線の詳細度やBOMの表示有無を設定できます。
- ブレークラインとスプール分割:アイソメ図を複数枚に分割したい場合、3Dモデル上でブレークラインを挿入します。これにより、図面分割のルールを設計者が明確に定義できます。
品質向上:溶接点、ノズル接続の制御
アイソメ図の品質は、現場での使いやすさに直結します。
- 溶接点の自動挿入:Plant3Dは、配管の切断位置に基づいて溶接点を自動で挿入します。
- 機器ノズルの正確な表示:機器との接続点(ノズル)がどの機器のどのノズルであるかを明確に表示し、現場での取り付けミスを防ぎます。
BOM連携:材料情報の一致を保証する
Plant 3Dのアイソメ図のBOMは、3Dモデルのデータベースから直接生成されるため、図面と材料情報が不一致になることは原理的にありません。
- カスタマイズ:BOMの表示順序、項目(品番、メーカー、数量など)、タイトルブロックの情報を会社のフォーマットに合わせてカスタマイズします。
- データ属性の活用:3Dモデルにカスタム属性(例:発注番号)を入力しておけば、その情報も自動的にアイソメ図のBOMに反映されます。
徹底活用術:手動修正をゼロにするTips
Plant3Dのアイソメ図作成の究極の目標は「自動生成された図面に一切手を入れる必要がない状態」です。
- 寸法線の配置調整:Plant3Dの設定ファイルを調整することで、寸法線が密集しすぎるのを防ぎ、見やすいレイアウトを自動で生成するように制御します。
- 注釈の簡素化:図面が煩雑になるのを防ぐため、表示する注釈の種類や表示位置のオフセットを細かく設定します。
- チェックアイソメの活用:設計終盤ではなく、設計途中で「チェックアイソメ」を出力し、設計レビューに活用することで、手戻りになる前の早い段階でミスを発見し修正します。
まとめ:アイソメ図作成は「設計の完成度を測る指標」へ
Plant3Dのアイソメ図自動生成機能は、単純な作図の自動化を超え、設計品質の保証と情報共有の効率化を実現します。アイソメ図作成の時間を大幅短縮して、設計工数を劇的に削減しましょう。

ねこ道
作業時間が減った分、より高度な技術的検討や、新しい技術の検討などに時間を使いましょう!
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