設計レビューの現場は、まだ紙図面と赤ペン、そして山のような打ち合わせ資料で溢れていませんか?特にプラント設計では、配管の取り合いや機器のアクセス性など、2D図面では判断が難しく、レビューに時間がかかりがちです。
この課題を解決し、レビュープロセスを劇的に高速化するのが、Plant3DとNavisworksの連携です。Navisworksは、Plant3Dのモデルを最大限に活用するための「レビュー専用ツール」。本記事では、この強力な連携による究極のワークフローを解説します。
導入:Navisworksは「レビューのための共通言語」
Plant3Dは強力な設計ツールですが、Navisworksはモデルの統合、干渉チェック、共有、レビューに特化しています。Navisworksを使うことで、設計者だけでなく、発注者、施工管理者、保全部門など、誰もが直感的にモデルを理解できるようになり、3Dモデルが共通言語となります。
なぜNavisworksが必要なのか?
Plant3Dのモデルは高性能ですが、ファイルサイズが大きく、CADソフトがないと閲覧できません。Navisworksはその課題を解決します。
- データ形式の統合:Plant3D(DWG)だけでなく、他社の3D-CADデータ(機器ベンダーからのデータ)、建築モデル(Revit)など、異なる形式の3Dデータを一つのモデルに統合できます。
- 軽量化と閲覧性:Navisworks形式(NWD)に変換することで、データが極めて軽量化され、低スペックなPCでもスムーズに閲覧・操作が可能になります。
- 無償ビューアの存在:Navisworks Freedomという無償のビューアがあり、発注者や協力会社に気軽にモデルを共有できます。
Plant3Dからのデータ書き出し手順
Plant3DからNavisworksへデータを渡す際は、ただ書き出すだけでは不十分です。
- NWCファイルでのエクスポート:Plant3Dから直接、Navisworks形式のキャッシュファイル(NWC)を書き出します。
- 属性情報の維持:Plant 3Dで入力したタグ、ライン番号、スペックなどのインテリジェンス(属性情報)を維持したまま書き出す設定を必ず確認します。これにより、Navisworks側でも配管をクリックするだけで、詳細情報を確認できます。
Navisworksでの必須レビュー機能
統合したモデルは、Navisworksの強力な機能で徹底的にレビューされます。
- クラッシュ検出(干渉チェック):複数のデータ形式を統合した環境で、配管と構造物、配管と機器などの物理的な干渉を自動で検出します。Plant3D内の干渉チェックより広範囲かつ多角的なチェックが可能です。
- タイムライナー(4Dシミュレーション):建設の工程情報(スケジュール)を3Dモデルに紐付け、施工ステップを仮想的にシミュレーションできます。これにより、施工時の干渉や作業手順の妥当性を事前に検証できます。
- ビューポイントとマークアップ:問題箇所を発見したら、その視点を保存し、「赤入れ(マークアップ)」やコメントを付与。
レビュー結果のPlant3Dへのフィードバック
レビュー結果を設計にスムーズに戻すことが重要です。
- レポートの活用:Navisworksのクラッシュ検出レポートをPlant3D設計者に渡し、干渉箇所の座標や関連要素を明確に伝えます。
- ビューポイントの共有:レビューで保存した視点情報(ビューポイント)を設計者と共有することで、「どの部分を修正すべきか」を一瞬で理解させ、手戻りを最小限に抑えます。
まとめ:3Dレビューは「フロントローディング」の要
Plant3DとNavisworksの連携は、設計の下流工程(レビュー、施工)での問題を上流工程(設計)で発見し解決する「フロントローディング」を実現します。レビューのスピードと精度が上がり、現場での手戻りコストが激減します。あなたの会社の設計プロジェクトに、この究極のワークフローを導入しませんか?

プラント工事のプロジェクトが成功するかどうかは、フロントローディングにかかっているといっても過言ではありません!
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