【第77回】AutoCAD Plant3Dで今すぐ効率を上げる実践的な方法について

Plant3D(初級者)

みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
年末はバタバタとしていて更新頻度が少なかったですが、今日から気持ちを切り替えてまた頑張っていきたいと思います。

さて、今回は【第67回】の記事にコメントをいただいた内容を少し深堀して記事にしてみたいと思います。(みなさんのコメントが何よりの励みになります。ありがとうございます。)

AutoCAD Plant3D(3D設計)で効率は上がるのか?という疑問

AutoCAD(2D)で配管設計をしていた時に比べて、AutoCAD Plant3D(3D)で配管設計をしたら余計に時間がかかっていると思っている方は多いと思います。私もそう思います。理由としては、2D設計と3D設計は根本的に設計手法が違います。それに加えて3D設計特有のやるべき事が増えます。この2点が大きな要因だと考えています。

設計手法の違いとは?

私が20年以上、3D配管設計をやっている中で気づいた1番大事なことは、3D設計とは従来の2D設計効率・作図効率を上げるためのものではなく、フロントローディングを実現するためのツールであると言うことです。

フロントローディングについては、Autodesk社のサイト(リンクを貼っておきます)などで分かりやすく記載されていますので、そちらを見ていただければと思いますが、ざっくり簡単に説明すると、設計初期段階に負荷をかけて、事前にできるだけ詳細を詰めることで、設計後半での変更修正を極力減らすことで、プロジェクト全体のコスト削減、納期短縮を実現するという考えです。

具体的に言うと、従来の2D設計は、各図面を作っていくフェーズで、だんだんと詳細度を上げていく手法になっています。これはそもそも成果物が紙図面であるが故に、詳細部分を図面上に書き表すことが紙のスペースの都合で、不可能なためです。そのため、まずは全体の図面(配管計画図など)、そして尺度を大きくして詳細の図面(配管平面図など)、さらにその中から抜粋してさらなる詳細図(配管スプール図)、という書き方をしていきます。

一方で、3D設計の場合は、成果物が3Dモデルになります。そうするとスペースは三次元に無限にあるので、初期の段階から詳細部分の設計をしていきながら、全体を作っていく手法になります。そうです、設計方法が真逆なのです。2D設計では設計期間の後半にいろいろな詳細が決まっていくのに対して、3D設計では前半にいろいろな詳細を決めるのです。

そのため、従来では後半の方に決めていた詳細部分についてを前半で決める必要が出てきます
後半での設計変更はコストも時間も多くかかるが、前半での設計変更になるので、コストも時間も最小限に留めることができるというフロントローディングを3D-CADを正しく利用することで、結果的に実現することができるのです。設計の品質を担保しながら、設計効率を上げることができるようにするためには、ここを意識することが非常に重要になってきます。

この真逆の設計手法を実現させるためには、業務フローの抜本的な見直しが必要ですよね?と思っています。会社全体で、あるいはプロジェクト全体で業務フローを見直す必要があります。(ここが非常に難しいところです)

3D設計特有のやらなくてはならない事とは?

従来の2D設計には必要がなかった作業が増えています。

  • Z軸方向への詳細検討・作図(2Dでも多少やっているとは思いますが)
  • 配管部品関係のカタログ登録(手動弁類や計装品類など)
  • 配管スペックの登録
  • 配管以外の3D化(機器図、建屋図、ケーブルラック図、ダクト図などが2D設計の場合)

上記に加えて新しい3D-CAD(Plant3D)を習得する手間もかかります。

どうやって効率を上げるか?

上記2つの要因があることが分かりました。その中でどうやって効率を上げていけばよいのでしょうか?私の答えとしては、抜本的な業務フローの見直しが一番効果があると思っています。
なぜならばフロントローディングが実現できるからです。ただし、この業界の仕事は縦割り構造になっていて、上流側の会社(もしくは上流側の部署)が変わっていかないと難しい点も多々あるかと思います。
次に効果が上がりやすいもので考えると、

  • 最終成果物を2D図面→3Dモデルに変更する
  • 機器や建屋などのデータはメーカーから3Dモデルデータを受領する
  • 配管部品は同じメーカーを標準採用することでカタログ登録数を減らす

あたりを検討していくとよいでしょう。ただ、こちらも他社の協力がないと、実現が難しいかもしれません。

現実的に今すぐ効率を上げるには?

それでも何とかして、今すぐに効率を上げないといけない!という状況に置かれている人もいるかもしれません。(上司へ導入効果を報告しなければならないとか。。)
その場合は、自社(もしくは設計者本人)でできることで成果を上げるしかありません。
私が今までやってきた中で効果がある方法を2つ紹介します。

  1. 2Dで設計してから3D化するのではなく、最初から直接3D設計をする
  2. 配管以外の3Dモデル詳細度(LOD)を下げる

配管設計のスキルはあるけれども、CADのスキルが少々乏しいため、まずは2Dで図面を描いてみて、そこから3D-CADオペレーターの人に3D化をお願いする、という働き方をしていませんか?それだと二度手間になってしまいます。やはり直接3Dで設計をした方が、作業効率は上がります。

機器モデルや鉄骨架台などをやたら細かく作っていませんか?配管以外のモデルはあくまでも配管設計をする上での干渉物という認識をもって、素早く作成する方が配管設計の品質を担保したままで作業効率を上げることができます。

まとめ

  • Plant3Dはフロントローディングを実現するためのツール。
  • 2D設計と3D設計は、設計手法が真逆
  • 業務フローを抜本的に改革するのが一番業務効率が上がる。
  • 2Dでとりあえず作図してから3D化するのではなく、直接3D設計をする。
  • 配管以外の3Dモデルの詳細度(LOD)を下げる。

本当は、業界全体で業務フローの抜本的改革が必要な話なのですが、残念ながら3D-CADが登場してから30年以上経過しているのに、いまだに改革が進んでないのが実情です。ならば、とりあえず自社(個人)でできる改革から始めましょう!

ねこ道
ねこ道

「直接3D設計」と「配管以外のモデルを簡素化する」
ここを実践するだけでも、しっかりと効果は表れます。
あとはPlant3Dをマスターする!も当然大事です。(笑)

コメント

  1. カナビー より:

    確かにおっしゃる通りだと思います。
    2Dのときは下流でなんとか対応できていた部分が、3Dでは上流でしっかり手間をかけないといけなくなっていて、従来のやり方ではうまくいかないという点、すごく納得しました。

    自動スプール図の枚数が膨大になるので、そこにあまり手間をかけたくない分、どうしても3Dモデル作成部分に時間がかかってしまいますね。
    自動スプール図の精度を、どこまで高めるのが正解なのか・・作業を進めながら悩ましいところです。

    • ねこ道 ねこ道 より:

      カナビーさん
      再びのコメントありがとうございます!

      私の個人的な意見としては、自動スプール図の精度を極限まで高めていくのが正解だと思っています。
      そのために3Dモデル作成に時間をかけていく(私は、正しい3Dモデルという表現を勝手に使ってます)という考え方です。
      工期とのバランスが難しいところですが、カナビーさんの考え方は間違っていないと思いますので、ぜひとも頑張ってください。

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