【第30回】Plant3DデータをMR(Mixed Reality)で見る方法について

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今回はAutoCAD Plant3D(以下Plant3D)で作成したデータをMR(=Mixed Reality)で見る方法をお話ししたいと思います。まだプラントエンジニアリング業界では、ほとんど普及していない最新情報になります。私の最終的な野望(ゴール)としては、工事関係者が全員MRを活用することで、2D図面を見ることなく、工事施工が行えるようになることです。それでは、まずは軽くAR・VR・MRについて説明します。

AR・VR・MRとは

AR(=Augmented Reality)は、日本語では拡張現実と訳されます。現実空間にデジタル情報を重ねて表示します。主にスマートフォンやヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用することで、現実世界を見ながらデジタル情報をそこに表示できます。有名なものだと、Google MapにAR表示をさせると道路に大きな矢印が出て道案内をしてくれます。

VR(=Virtual Reality)は、日本語では仮想現実と訳されます。ヘッドマウントディスプレイを着用して、完全に仮想世界に没入します。現実とは全く別の世界を体感でき、主にゲームやシミュレーションなどで活用されています。

MR(=Mixed Reality)は、日本語では複合現実と訳されます。現実世界と仮想世界を融合させて表示させます。ARと似ていますが、より精緻に座標を合わせて重ね合わせが行われるため、現実環境を認識しながら、仮想オブジェクトや情報を操作することができます。エンターテインメントだけでなく、遠隔操作で協力作業を行うことができるため、業務利用にも適しています。MRは、ARとVRの要素を組み合わせた最終形態と言えるでしょう。

おすすめのハードウェア

MR用のハードウェアですが、現実的な選択肢として2つあります。HoloLens(マイクロソフト社)とMetaQuest(メタ社)になります。両方導入した私の経験則でいうと、MetaQuestの方がおすすめです。理由は、視野角が広いことと価格が安いからです。

MetaQuestはビデオパススルー機能を使った複合現実のため視野角が非常に広いです。一方でHoloLensはARグラスのようになっていて、現実世界はそのまま見えます。そこに仮想世界を小さなディスプレイで重ね合わせるような形になるため、仮想世界の視野角が非常に狭いです。(体感としては目の前に20インチのディスプレイがあるような感じ)

価格は、HoloLensが約40万に対して、MetaQuestは約5万(なんと8倍の価格差!!)です。正直言って中小企業では、MetaQuest一択といってもいい価格差です。

おすすめのソフトウェア

あとはPlant3DのデータをMetaQuestに移すためにソフトウェアが必要になります。現状では選択肢は3つあります。GyroEye、Mixpace、TrimbleConnectMRになります。結論から言うと、Mixpaceがおすすめです。理由は、データ変換の手間と、変換後のデータが持つ情報量に明確に差がありました。

実は、最初はGyroEyeを2021年に導入しました。その時の理由は、価格が一番安かったからです。ちなみにその当時は、TrimbleConnectは知らなくて、GyroEyeかMixpaceで検討していました。ポイントは、データ変換方法、変換後のデータが持つ情報量、価格の3つです。

Plant3Dで作成した3Dモデルを元データとして活用する前提でしたので、まずはnwdデータが読み込めるかどうかを確認しました。残念ながらどちらも対応しておらず、別形式のfbxデータに一度変換してから、再度MR用に変換させる必要がありました。
一度fbxデータに変換するため、データ変換後は、いわゆるただの3Dソリッドモデルになってしまいました。よって、配管や機器などの情報は全てなくなります。(それじゃ意味ないじゃん。。)
価格は、GyroEyeが初年度約90万、次年度以降は約35万/年です。Mixpaceは約120万/年でした。
ということで、二年目以降の価格差を考えてGyroEyeを選択しました。

ところが。。新たな情報が入ってきました。翌年(2022年)にMixpaceがnwdデータに対応しました!!(衝撃的な事件でした(笑))
しかもデモ体験をさせてもらったところ、なんとデータ情報も全てそのまま引き継がれているではありませんか!配管を触れば、サイズ、材質、スペックなどが確認できます。Navisworksがそのまま目の前の現実世界で行われているような感覚でした。
そうなると話が変わってきます。データ変換の手間もなく、データ情報も引き継がれるのでMixpaceの勝ちは揺るぎません。価格差には目をつぶり、2022年にMixpaceに乗り換えました。
その後、TrimbleConnectを知り、検討してみたのですが、やはりnwdデータに未対応のため候補から外れました。(ちなみに現在(2025年)はnwdデータに対応しているようです)また、MetaQuestにもでした。

まとめ

  • Plant3Dで作成した3DモデルをMR(複合現実)表示させるには、MetaQuestとMixpaceの組み合わせが現状の最適解
  • まるでNavisworksが目の前の現実世界にあるような感覚。
  • 現物との自動干渉機能もあり、本当に仮想世界と現実世界が融合している。
ねこ道
ねこ道

ついにデジタル技術がここまで進歩しました。あとはハード、ソフトともにブラッシュアップしていけば、本当に2D図面のいらない世の中が実現できると思います。あと数年でしょうか。今からワクワクしてしまいます(笑)

コメント

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