【第37回】プラント業界の配管用3D-CADについて

Plant3D

みなさんはENN(エンジニアリングネットワークの略だったと思う)という雑誌をご存じでしょうか?おそらくほとんどの人は知らないと思いますが、プラントエンジニアリング業界の専門誌になります。毎月2回発行されて、私の知る限りでは、16年以上前から存在しています。

その中で毎年2月号にとある特集記事が掲載されます。それは、プラントエンジニアリング会社へアンケートを取り、3D-CADなどのデジタルツールの使用率調査をまとめている記事です。私は、この記事を2011年2月からずっと記録していて、今でも毎年楽しみにしています。

今回は、その中の3D-CADソフトの使用率に関して、私の独断と偏見の考察を交えながらお話ししたいと思います。(異論はあるかと思いますがご容赦ください)

読み始めたきっかけは?

まず、2011年でピンとくる方はいるかもしれません。そうです!AutoCAD Plant3D(以下Plant3D)が発売された年になります。この記事を収集するようになったきっかけがPlant3Dです。当時、私の予想ではこれからPlant3Dの時代がやってくるなぁと思っていました。なので本当にこの業界にPlant3Dが根付いていくのかを定点観測していこうと思ったのです。ちなみにこの年のPlant3Dシェアは1%でした(笑)

14年間のデータをグラフにまとめてみた

私が14年間のシェア率をまとめてグラフにしたものになります。以下、考察です。
※PDMSは途中から後継機のE3Dが発売されています。このグラフでは、PDMSとE3Dを合算した数値になっています。

  • 価格帯でいうと、PDMS、PDS、SmartPlant3D(以下SP3D)が高価格帯、EYECADが中価格帯、Plant3Dが低価格帯。
  • 2011年頃は、PDMS、PDS、SP3D、EYECADの四天王時代
  • PDSはSP3Dへの移行をしていった。(同じ会社のソフトでSP3Dを普及させたかったため)
  • 時代が進むにつれて、高価格帯がPDMSに絞られていった。(PDS、SP3Dは減衰)
  • 中価格帯のEYECADは、ずっと高シェアをキープし続けている。
  • 低価格帯のPlant3Dは唯一の右肩上がり!
  • 高価格帯のPDMSが近年は減少傾向にあり、EYECADやPlant3Dが増加傾向。

アンケート対象は、大手エンジニアリング会社がメインで50社程度です。(毎年、ほぼ同じ会社に継続的にアンケートを依頼しているようです。)
ここで疑問が湧いてきました。Plant3Dのシェアが延びているということは、大手エンジニアリング会社がPlant3Dを使う??PDMSやEYECADがあるでしょ?なんで?
EYECADのシェアが延びたのは、PDMSが価格改定で超高価格帯になったためだと推測されます。また、海外案件はPDMS、国内案件はEYECADという使い分けも昔から一定数していました。

先日、大手エンジニアリング会社の人と話す機会があり、この答えが出ました。先ほども言った通り、PDMSが超高価格帯になったために、現在では引合案件や基本設計時にはPlant3Dを使用して、詳細設計に入ったところでPDMSを使用するという二段構えでやっているそうです。なるほど、これならソフトのライセンス費用を抑えることができる。でも、Plant3DからPDMSへのデータ移行って実際にはほぼできないと言っても差し支えない程度の連携機能しかありません。つまり二度手間になっているということだと思います。だからといって大型案件をPlant3Dでやるのは確かに難しいでしょう。悩ましいですね。

ナナ
ナナ

このグラフを見てもわかる通り、中小企業はPlant3D一択だにゃ!

ねこ道
ねこ道

そうだよね。大手エンジニアリング会社でここまでシェアが延びてるってことは、今後ますます中小企業ではPlant3Dがメインになっていくでしょう。
みなさん、一緒にPlant3Dを頑張っていきましょう!

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