【第102回】なぜPlant3D導入は社内で揉めるのか?「2D派vs3D派」の壁を打ち破りスムーズに移行させる現場改革術

導入:CADの3D化、最大の敵は「ソフトの機能」ではなく「社内の壁」?

みなさん、こんにちは!
これからAutoCAD Plant3Dを導入しようとしている企業の方、あるいはまさに今導入を進めている担当者の方に、少し意地悪な質問です。

「ツールさえ買えば、みんなすぐに3Dで図面を描いてくれると思っていますか?」

……ぶっちゃけ、そんなに甘くはありませんよね(笑)。

新しいCADツールを導入する際、最も高いハードルになるのはソフトの操作方法覚えることではありません。「これまで2D‐CADで何不自由なく業務を回してきたベテランや現場との確執(バッティング)」です。

今回は、当社が2D‐CADからPlant3Dへ移行する際に実際に起きた「社内のリアルな抵抗劇」と、それをどのように乗り越えて社内に浸透させていったのか、その解決プロセスを赤裸々にお話しします。

なぜ社内でバッティングが起きるのか?(現場の言い分)

ツールを推進する立場からすると「3Dにすれば干渉チェックもできるし、アイソメ図も自動で出るから楽になるのに!」と思いますよね。しかし、長年2Dで描いてきた設計者には彼らなりの「正論」があります。

現場から返ってくる「3大反対意見」

  • 「2Dのほうが描くのが圧倒的に速い」
    • 慣れ親しんだ2Dなら、頭の中のイメージを瞬時に線にできます。「わざわざパーツ(スペック)を選んで3Dで配管を伸ばすなんてテンポが悪い」と感じてしまうのです。
  • 「設定や準備(スペック・カタログ作成)が面倒くさすぎる」
    • 3Dを動かす前段階の「パーツ定義」や「プロジェクト設定」の手間を見て、「そんなことやってる暇があったら図面1枚仕上げられる」と吐き捨てられます。
  • 「作図の自由度が減る」
    • 2Dなら「ちょっと納まりが怪しいけど、一旦線だけ引いておく」という誤魔化し(?)が効きましたが、3Dは嘘がつけません。これがストレスになります。

結果として、推進派と現場派の間で「せっかく導入したのに、誰もPlant3Dを使わず結局みんな2Dで描いている」という泥沼の冷戦状態が発生してしまうのです。

【解決策】社内バトルを収束させてPlant3Dを浸透させた4つのステップ

この「2D vs 3D」のバッティングを解消し、スムーズに移行させるために当社が実践したステップがこちらです。

1. 全員を一気に移行させない(小さな成功体験の横展開)

最初から部署全員に強制するのは絶対にNGです。まずはデジタルに抵抗のない若手や、意欲のある1〜2名のミニチームだけで1つの小さな案件をPlant3Dで完結させました。

そこで「干渉チェックで重大なミスを未然に防げた」「アイソメ図の出力がめちゃくちゃ早かった」という目に見える成果を作り、周囲に「あいつら、なんか楽そうにやってるな」と思わせる雰囲気を演出しました。

2. 「初期設定(スペック・カタログ)」は推進側が完璧に立て替える

現場の設計者に「スペックの構築からやってね」と丸投げすると100%挫折します。 弁理で使いやすいパーツカタログや社内標準スペック(配管仕様)は、あらかじめ推進チーム側で完璧にお膳立てして準備しておきました。「現場は配管を伸ばすだけの状態」にしてあげることで、導入の心理的ハードルを極限まで下げました。

3. 「2Dのほうが速い」という幻想を数値で論破(比較見せ)

モデリング単体のスピードだけを比べると、確かに慣れた2Dの方が速く見えることもあります。 しかし、「モデリング + 干渉チェック + 材料集計 + アイソメ図作成 + 図面修正」という全工程のトータル時間で比較して見せました。このトータル時間での比較が非常に大事です。さらに、AutoCAD P&IDの連携なども追加すると、さらに効率よく業務が行えるようになります。

「修正が入ったとき、2Dだと全体を直し直すのに3日かかるけど、3Dならモデルをちょっと動かすだけで図面も一瞬で更新される」という実証データを提示することで、ベテラン勢もぐうの音も出なくなりました。

4. 「完璧な3D化」を目指さない(逃げ道を作る)

最初から「100%完璧な3Dモデルを作れ」と命じると現場がパンクします。 「複雑な機器の内部までは作らなくていい。外形とノズル位置さえ合っていればOK」「基本は3Dで組んで、最後の細かな注記だけは慣れた2D(AutoCAD)で加筆して仕上げてOK」という良い意味での妥協ルールを作ったことで、現場の抵抗感が一気に和らぎました。(ただし、この方法だといつまでたってもその先へ進めないという問題点も次の段階で起きてきます。)

結び:大切なのは「ツール」ではなく「人の感情」に寄り添うこと

Plant3Dへの移行で本当に変えなければならないのは、CADソフトではなく「作業者のマインド(習慣)」です。長年培ってきた2Dの技術を否定するのではなく、「2Dの知識があるあなただからこそ、3Dを扱えば最強の設計者になれる」とリスペクトを持って巻き込んでいくことが一番の近道でした。

また、これからの時代に必要な人材とは「掛け算の人材」です。「配管設計者」×「最新デジタル技術」を体現できる人が、ますます有利な時代になっていくでしょう。

ねこ道
ねこ道

これからPlant3Dの導入・移行に挑むみなさん、最初は社内調整で泥臭い苦労も多いかと思いますが、乗越えた先には間違いなく圧倒的な業務効率化が待っています。応援しています!

コメント

タイトルとURLをコピーしました