みなさん、こんにちは。今日はAutoCAD Plant3D(以下Plant3D) のある厄介なバグについて、ちょっとお話ししていきたいと思います。
皆さんは、オルソ図(平面図)を出そうとしてオルソモードにし、対象範囲を選択しようとした際に「モデルの実際のサイズに対して、クリッピングボックスが異常にデカすぎる」といったエラーに遭遇したことはありませんか?
本来なら、モデルの最大値(XYZ)がすべて収まるように、自動で丁度いいサイズのボックスが出現するようになっています。しかし、何らかの理由でモデルがあまりにもデカすぎたりすると、Plant 3D の設定許容を超えてしまい、異常に巨大なクリッピングボックスが生成されてしまいます。全範囲が大きすぎて、システムがおそらく対象を拾えなくなり、正常に動かなくなってしまうのです。
これが発生すると、オルソのモデルを切る(範囲指定する)のが非常に難しくなってしまいます。
以前までの対応方法とその限界
一応、Plant3D には「事前にクリッピングボックスの大きさを保存する」機能があります。事前に保存してあれば、そこから1回ロードしてくることでクリッピングボックスを無理やり小さくし、そこからもう1回大きさを変える、といった操作で対応は可能です。
ただ、一発目でそれを保存していないと、一生デカいクリッピングボックスができ続けてしまい、「もうオルソが切れない!」という絶望的な状態に陥ってしまいます。
原因を徹底究明!犯人はまさかの…
私自身、この原因をずっと調べていたのですが、あるとき「手すり」が原因だと分かりました。おかしなエラーが出ていたモデルから、3Dモデルの要素を一つずつ削って検証していったのです。
- 配管がおかしいのかもしれないと、配管を全部消してオルソを実行(エラーは解消せず)
- 鉄骨を全部消してみる(エラー解消せず)
- 床を消してみる(エラー解消せず)
- 壁を消してみる(エラー解消せず)
このようにいろいろ試していく中で、「手すりを全部消したとき」に、見事にオルソが切れるようになったのです。
手すりの何がおかしいのか?
手すりが犯人だと特定できたので、次は「手すりの何がおかしいのか」をさらに調べていきました。
最初に出た結論としては、「手すりの鋼材設定が悪さをしているのではないか?」ということでした。手すりは、支柱や手すり部などを鋼材で選択するようになっているのですが、どうもこれが悪さをしているようでした。
あるとき、この設定を変えたらエラーが出なくなりました。「これだ!」と思い、今後の初期設定では、その手すりをJIS規格のパイプで作るように設定を変更しました。(ここがDIN規格のパイプだとおかしくなっていました。当サイト【第42回】架構モデル作成についてでも少し触れていますので、そちらも良かったら見てください。)
これで問題解決だと思って作業していたのですが……先日、やはり同じようなエラーが出てしまったのです。
再発、そしてデータマネージャーで見つけた真実
おかしいと思い、モデルに戻って手すりの鋼材規格を確認したのですが、以前は問題がなかった正しい鋼材にちゃんと変わっています。
それなのにエラーが起きるということは、「何十個もある手すりの中に、直し忘れているものがあるのかもしれない」と考えました。そこで、データマネージャーを開いて手すりの一覧を確認してみたのです。
そのときに、とんでもないことに気がつきました。
自動計算されるはずの手すりの重心の数値(X軸・Y軸・Z軸)に、「100万mm」というようなあり得ない数値が入っているものがあったのです。
以前、オルソにしたときにうまく動かない原因として「巨大なクリッピングボックスができてしまう」とお話ししましたが、その原因とこの「重心のバグ」が、ここで頭の中で完全に一致しました。
つまり、手すりの重心が100万mm先というあり得ない場所にぶっ飛んでいるせいで、システムが「ここまでボックスの範囲が必要だ」と判断し、自動的に超巨大なクリッピングボックスを出力していたようです。
データマネージャーの手すり一覧から、明らかに重心の数値がおかしいものを数本削除してみたところ、無事にオルソのクリッピングボックスが正しい大きさで表示されるようになりました。
本来、手すりを引くと「始点と終点の中点」が重心として自動計算され、この値はユーザーが変更できない仕様になっています。それがおかしくなってしまうのは、明らかにPlant3D のバグと言えます。
現状の暫定的な回避策(Plant3D 2027ver. 対応)
どうしてこの現象が起きるのか、今のところ原因や確実な修正方法は見つかっていません。
以前は、階段に生成した手すりでこの不具合が起きることが多かったため、階段の手すりを作り直すことで対応していました。しかし、最新の Plant3D 2027ver.では、階段に関係なく、普通の床の上でクリックして描いた手すりでも重心がおかしくなることがあります(発生しないこともあり、条件は謎に包まれています)。
そのため、現状の暫定的な回避策としては、以下のように対応しています。
- 削除して新規作成:おかしな手すりが出たら、とりあえず一旦削除して、新規作成で描き直す。
- 正常な手すりをコピペして編集:描き直しても重心がおかしい場合は、すでに入力してある「重心位置が正常な手すり」をコピー&ペーストして、それを編集(始点・終点を変更)する。
正常な手すりをコピペして編集すれば、位置を動かしてもちゃんと中点に重心が自動計算されます。現状はこれしか解決方法がなさそうです。
まとめ
皆さんも、オルソで図面を切り出そうとしたときにクリッピングボックスの挙動がおかしくなった場合(モデルに対して異様に大きくなって操作できない状態になった場合)は、まず「手すり」を疑ってみてください。
3Dモデルからデータマネージャーを開き、手すりの一覧で「重心位置」がおかしいものがないかを確認します。もし見つかった場合は、それを削除して入れ直すか、正常な手すりをコピペして編集することで解決できるはずです。
以上が、私が何年も前から悩まされてきたバグの解決策となります。皆様のプラント設計における課題解決に、少しでもお役に立てれば幸いです!

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